結局は面倒から逃れられないという話

身動きが取れないほどではないけれど、立っている人の多い混んだバスに乗って海辺を目指す、というか目指さなければならないという状況で、わたしの斜め前には知り合いの大柄な男性の温かそうな背中があり、そのまた斜め前には目下その男性と親しい女性が立っている。
 わたしはその男性を頼りにしており、できればもっと近くに寄りたいと願っているところでその人が振り返り、「一緒に払っておいてあげるから」と、わたしの手から乗車賃(1200円)をむぎゅっと握り取ると、片手はつり革に捕まったまま、身体ごと反対の腕を運転手の方に伸ばして料金を渡してくれた。
 
 どうやって料金を支払えばよいのかと不安に思っていたことが解消して大変安心し、やっぱりわたしはこの人好きだわ彼女から奪いたいわと思っていると後ろの方から誰かに肩を叩かれる。振り返ると知り合いの女が「ごめん、わたしの分も払っといて」と、お金を握った手を伸ばしている。
 
 せっかく料金を払い終えてほっとしたところでまたわたしの手には他人の料金があるのである。さすがに件の男性に「これもお願い」と頼むことはできない。まだそこまで馴れ馴れしくできない。仕方なく自分でバスの前方まで進む。いい格好を見せたいという下心もある。
 
 ところが運転手は外国人の大きな太った女性で「料金を……」と声をかけても今は無理と手を振って取り合わない。ゼスチャー混じりになんたらかんたらと理由を並べるけれど訛りのある英語はよく聞き取れない。わたしは前方の道路の様子を見て、信号を確かめつつ、いつ声をかければいいのかと途方にくれている。
  
 という夢を見た。
 他人の夢の話程おもしろくないものはないと言うけれど、
 後でじぶんで読み返すととても興味深いものなの。 
 ちなみに、登場人物はすべて架空のものだ。
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